親友の破局

慎吾と聖司の家出は、長くは続かなかった。
すぐに学校へ戻ることになったようだ。


そして、私と慎吾は遠距離恋愛になった。
まだポケベルすら持ってない時代。
私たちの付き合い方は、主に「文通」だった。

月に何度かの手紙のやりとり。
聖司に会いたいがために付き合うことにした私だから、文通のみの付き合いは都合がよかった。それに文章を書くのは好きだったから苦ではなかったし、嘘を並べたって顔を合わせているわけじゃないから悟られることもない。

慎吾のことを好きではなかったが、「彼氏がいる」と言える自分の状況に満足していたように思う。

そして、聖司とハツミ。
聖司は家出の後、一度は学校に戻ったけれど、まもなく中退してしまった。
そのあと、私には予想外だったけど、二人は別れてしまった。
理由はハツミいわく、こうだ。

「聖司が、私のお父さんの悪口を言ったから。」

聖司は、ハツミの父親に 深夜に電話をかけたことを怒られたらしい。そして

「お前の親父、ムカつくな」
と言った。
ハツミは
「私が自分のお父さんのことを悪く言うのはいいじゃん!でも聖司が言ったのが許せなかった!!」
そう言っていた。

怒ったハツミは聖司に別れたいと告げた。
聖司はハツミに本当に惚れていたらしく、別れたくないとすがったらしい。
でもハツミの怒りはおさまることなく…。

私は二人が別れることを望んではいなかった。
聖司が私の事を好きになってくれることはないと思ったしハツミを裏切りたくもなかった。
一番最初に思ったことは



もう聖司に会えないの?!



だった。

しかし、ハツミはその後も聖司と会い続けた。
「友達として」だ。
多分、ハツミもまだ未練があったんだと思う。

だから私も慎吾と付き合ってれば、きっと聖司に会える日がくる。
そう信じた。


そして、祝日をはさんだ3連休がやってきた。
慎吾は電話で
「やっと会えるよ」
嬉しそうに言った。

私は嬉しかったのだろうか?
多分、戸惑ったんだろう。
イヤではなかった。
慎吾は優しかったし、聖司みたいにいい加減な性格でもなかった。

慎吾は
「ところでさ、俺の友達が女の子紹介してほしいって言ってるんだ。誰か連れてきてくれないかな?」
と頼んできた。

私は、同じクラスの美樹に声をかけてみた。
全然目立たない、おとなしい性格の美樹。男と遊んでるようなタイプの子ではない。

美樹は
「いいよ!」と快諾してくれた。




こうして私と慎吾の初めてのデート&紹介の話が決まった。




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【2007/09/19 23:57】 高校時代 | TRACKBACK(5) | COMMENT(30)
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卑怯な選択


「オレと付き合ってくれませんか?」


びっくりした。
あまりにも突然すぎたから。

なんて。
なんてストレートな申し込み方なんだろう。
でも私の頭の中は、「困ったなぁ…」だけだった。
嬉しいというよりも、困っていた。
慎吾が全く好みのタイプではなかったからだ。
特にルックスが、まったく駄目だった。
私は長身も苦手でガッシリした体格も苦手だった。慎吾は両方とも兼ね備えていて、つまり本当に苦手なタイプだったのだ。

でも…私は





「うん」









と返事をしていた。

自分でも最低だと思った。

OKした理由は簡単だった。


“また聖司に会えるから”



聖司に会うためなら、目の前にいる人を傷つけたって構わない。
一体どれだけ卑怯なことを考えていたのか…。今ならそんなこと絶対に出来ないけど、そのときの私はとにかく聖司との繋がりを失くしたくなくて必死だった。藁にもすがりたい思いで慎吾の申し込みを即OKした。これが慎吾じゃなくてもきっとOKしたと思う。

慎吾は私に一目ぼれしたと言った。
私が聖司に惚れたように。


「これから、よろしくね」
慎吾はそう言って、私にキスをした。
私は目を閉じて、慎吾のキスを受けた。

愛はなかった。
生まれる気もしなかった。
だから、そのキスにはとても違和感を感じたけれど、このキスが私が「彼氏」とした、ファーストキスだと気づいたとき、ほんの少しだけ胸がときめいた気がした。


「大事にするよ」

慎吾は低い声でそう言って、私を抱きしめた。



そして、慎吾は私の“彼氏”になった。


そして、その瞬間から 嘘だらけの二人の関係が始まった。




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【2007/08/07 00:12】 高校時代 | TRACKBACK(0) | COMMENT(0)
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二度目の紹介 

学園祭の準備が忙しかった頃…だから11月くらいだった気がする。

二度目の紹介の話がやってきた。
今度も聖司の友達ということだった。が地元の友達ではなく、高校の友達だという。

私はそのときも断る理由がなかったのでOKした。
本当に彼氏が欲しかったのかもしれない。聖司を忘れさせてくれる相手が。


こないだと違い「ちゃんとした」紹介ではなかった。

その日は平日で、聖司が地元に戻っているはずがない曜日だった。

私は電話で母親に
「学園祭の準備で遅くなるから今日は友達の家に泊まる」
と電話した。

眠らずにそのまま翌日登校するつもりだったんだと思う。





そして、学校が終わってから聖司の家の近くの公園へ行って、会った。
聖司と…慎吾に。



慎吾が、私の相手だった。
身長が185センチもあって、体格もガッシリしていた。

私の第一印象は

「で、デカイ…」

だった。
顔は、私は全くタイプの顔じゃなかった。それに私は痩せ型の人が好きだった。ガッシリ=デブに見えてしまっていた。
(慎吾は あるタレントにソックリで、けっこうモテる方だったのかもしれないことが後々になって分かるのだが)

声が低くて、あまり笑わない。
笑わない理由はすぐに明らかになった。
なんと彼は家出をしていた。
というより学校から逃げてきていたのだ。

では 聖司は??

聖司も同じだった。

聖司と慎吾は二人で学校を抜け出してきていたのだ。

それは、警察に通報されることを意味する。
親元には逃亡した時点で学校から連絡がいっている。
家に帰ってなければ“行方不明”ということで警察に連絡されるだろう。

つまり、聖司も慎吾も行く場所がなくて私たちを呼び出したのだ。
聖司はハツミに会いたかったし、ハツミも聖司に会いたかっただろう。

でも私は???
つまり慎吾が一人になってしまうから、急遽私も連れてきたってワケだ。
なるほどね。

そのときイヤな気分になったのかどうかは覚えていない。
多分、前の紹介のA君と違い、慎吾が私に優しかったからだと思う。
慎吾は私の隣でずっと私のことを見ていた。
気を使ってくれたし、日が落ちて寒くなってくると自分の制服のジャケットを私に羽織ってくれたりした。
私があくびをすると

「休んでいいよ」

私を自分の肩にもたれさせてくれた。

私の好みではなかった。
でも、すごく優しかったのだ。



そして、夜中になった。
帰る場所もない私たちは、別々のベンチにカップル同士で座って時間を潰していた。
ハツミと聖司は、公園内のどこか違う場所にいた。


話が途切れたとき、慎吾は唐突に言った。



「オレと付き合ってくれませんか?」







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【2007/08/05 02:12】 高校時代 | TRACKBACK(0) | COMMENT(0)
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初めての紹介 後編

そして当日。

駅までハツミが迎えに来てくれた。


目的地に向かって歩き出す。
聖司の家に向かっていた。紹介される彼は、聖司の家で待っているとのことだった。

もうすぐ聖司に会える!!

嬉しくてたまらない。テンションが上がっているのが自分で分かる。
妙にはしゃいでしまう。マズイ…。
ハツミの前では、紹介される彼のことが気になって眠れなかった、というようなことを言って誤魔化した。しかし、それは全くの嘘というわけでもなかった。もしも紹介してくれた人のことを好きになれれば、今のツライ恋から抜け出せる…。それも少し期待していた。


家に着いた。
聖司の部屋に上がる。


そのときどう思ったんだろう。
あまり良く覚えていない…。
多分、すごく嬉しかったんだろうけれど、顔に出せないもどかしさ。
そして、紹介してもらった彼。
なんともいいようのない程、記憶にない。名前も覚えていない。仮にA君としよう。
その場でトランプだったかウノだったかをしたと思う。聖司の弟もいた。
A君と話をした記憶が本当にない。話しかけられた記憶もない。
私はずっと聖司とばかり話していた。それから聖司の弟とも話した記憶がある。
ハツミがA君の相手をしていたようだ。
ようだ…というのは、私が覚えていないからである。

で、部屋にいた時間のことは覚えていないけれど、ハツミが「あたし帰る!!」と突然帰って行ったのは覚えている…。
そのときはよく分からなかったが、聖司と私ばかりが話していたのが気に入らなかったらしい。私と聖司の会話の内容といえば趣味の話がほとんどだったから、ハツミは入ってこれなかったようだ。


そんな感じで、私の初めての紹介はそれで終わった。
A君も私には興味が湧かなかったようだ。
私もA君には全く興味が湧かなかった。

でも、その後に一回だけ電話をした。
なんとなく、関係をつなげておかないと申し訳ないかな…という気持ちからだったような気がする。
でも、その一回だけの電話を最後にA君とはそれっきり会うことはなかった。


相変わらず私は聖司のことを想いつづけた。
ハツミにもバレずに、うまくやっていた。

そして、そんな自分がイヤになっていたけど、想いを伝える勇気もなかった。





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【2007/08/04 17:39】 高校時代 | TRACKBACK(0) | COMMENT(0)
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初めての紹介 前編

女子高というのは常に「コンパ」や「紹介」という話がゴロゴロしている環境にある。
地味な私にも話が来るくらいだ。
女子高はそれだけ男に飢えていたのだろう。

ある日、ハツミが私に紹介の話を持ってきた。聖司の友達だと言う。
隣町の工業高校に通う同級生だった。その高校は私の父の母校でもあり、偏差値は高い方。写真を見たが、顔もまぁまぁだった。



聖司は三連休を利用して一時帰省するらしい。
そのときに会ってみないか?という話だった。
ハツミはなぜか私のことを「可愛い」と思っていたようで 私の写真を聖司の友達に見せて、ものすごく勧めたという。そして彼は
「…じゃあ一回会ってみるよ…」
と言ったんだそうだ。


私は相変わらず聖司への想いを断ち切れないまま毎日過ごしていたので、男っ気などは全くない生活を送っている。断る理由なんて特になかった。



が。



私をその気にさせた理由は


“また聖司に会える”
ということだった…。


紹介でも何でもいい。
私は聖司に会いたかった。だから、紹介の話をOKした。

それから、その日が来るのを指折り数えて待った。


聖司がハツミの彼氏 だということは頭ではちゃんと分かっている。
ちゃんと分かっていて、奪うとか邪魔してやろうとか、そんな事を考えていたわけではなく、ただ単純に、本当に心から聖司に会いたかったのだ。

それほど、聖司に惹かれていた。
真夏に、たった二日間過ごしただけの男だったのに。

失礼な話だけど、紹介される予定の彼のことは、あんまり頭になかった気がする。





そして、その日がやってきた。






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【2007/08/03 01:28】 高校時代 | TRACKBACK(0) | COMMENT(0)
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苦しい日々。

残りの夏休み、私とハツミが会うことはなかった。
聖司とハツミのことは考えないように過ごした。
しかし。
頭のどこかでは気になって仕方ないのも事実だった。

そして…休みが明けた…。

新学期になった。
私とハツミは親友だった。だから休み時間も一緒にいたし、お弁当もいつも二人で食べてた。だから、会話をしないわけにはいかない。
必然的に、聖司の話になる。

と言っても、ハツミはなかなか自分から話そうとしなかった。
触れないのは不自然だ。
私が話をふってくるのを明らかに待っている。


「あれからさ…聖司くんとはどうなった?」


私は聞きたくないけど、一番気になっていたことを聞いた。

覚悟はしていた。

二人は、やっぱり付き合うことになっていた。

でも、今は遠距離恋愛だと言う。
聖司は高校(全寮制)に戻った。毎週末ごとに帰れる距離ではないから、次に帰るのはいつか分からないそうだ。携帯もポケベルも、まだない頃。だから二人の付き合いは、もっぱら文通だった。

私は、多分すこしホッとしていた。二人が会えないことに…。
しょっちゅうデートしている話なんて聞いたら、苦しくて耐えられないかもしれない。

私は諦められない想いと常に闘っていた。
そんな気持ちとは裏腹に、ハツミの相談相手になれるのが嬉しかった。二人のことは逐一知っておきたかった。


そういえば、ハツミは、シンジと別れてから、先生とまたよりを戻していたが、聖司との恋は本気のようで、先生とはちゃんと別れたと言っていた。



私たちは何でも話したけれど、ハツミがひとつだけ教えてくれなかったことがある。

聖司とのSEXだ。

私は後に聞いたのだけど

聖司はハツミが初めての相手だったらしい。意外だけれど…。
だから聖司がハツミに入れ込んでも無理はなかった。

聖司はハツミと付き合ってからだいぶ後に私に言ったことがある。

「今までは女に対する“好き”って感情は、ただ“可愛いな〜とか綺麗。”っていうことだと思ってた。でもハツミに対しては違うんだ。オレは初めて人を好きになった」


聖司も、本気でハツミが好きだったのだ。




ハツミは聖司が童貞だったことを隠したかったのかどうなのかよく分からないけど、そのことだけは私に言わなかった。何度聞いても、話してくれなかった。私はそのことだけ、いまも覚えている。




二人は文通という付き合いを続けた。
私は相変わらず自分の気持ちは誰にも言わずに、ただ耐えていた。

そして季節は、秋になろうとしていた。






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【2007/08/02 15:32】 高校時代 | TRACKBACK(0) | COMMENT(0)
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喧嘩

その日の夕方。
私はハツミの部屋にいた。


帰り際ハツミと聖司がお互いの家の電話番号を交換していたのを私は知っていた。
もちろん、私はしていない。



決定的だった。





この先私の知らないところで、二人っきりで会うに違いない…。




ハツミは、嬉しそうだったから…。



ハツミは私に、何か話しかけていた。
私は上の空だった。
どうにもならない想い…。
きっと自分のものにならない聖司のこと。

ハツミは
「ねぇ、聖司くんてかっこいいと思う?どうしようかな〜〜」
とかなんとか、私に話しかけていたと思う。
「あたしは全然、その気ないんだけどぉ〜〜」
なんて感じだった気がする。
私は
「しらん。どうでもいいよ」
みたいな返事をしていた。ハツミの話なんて聞きたくなかったんだと思う。






ヒュッ!!








バシッ!








私の肩に何か飛んできて当たった。
見ると、聖司がUFOキャッチャーでとったヌイグルミだった。



「ふざけんなっ!!」



ハツミが怒鳴った。

「?!」
私がビックリしてハツミを見ると、明らかに怒っている。

なんで怒ってるのか、わからなかった。

「な、何…???」
私が言うと

「なんで人が話してるのに、嫌味な言い方ばっかするわけ?!」
と言われた。
どうやら私は嫌味な言い方をしていたらしい。
なんとか聖司とハツミの行方を壊したかったに他ならないのだが…。

「…ごめん」
私は謝った。
そのときに

「私も、聖司くんが好きになってしまったんだよ」

って一言いえたら…。でも、言えなかった。
言えなかったせいで、私はずっと苦しい想いを一人で抱え込むことになってしまった。

ハツミがぶち切れてしまったせいで、私は一方的に謝ることになり、形として"親友の恋を応援する人"になってしまったのだった。
私もズルかったんだと思う。
どっちも失いたくなくて。
「彼女の友達」としてでも、また聖司に会いたかった。
だから、ハツミとケンカ別れなんてするわけにはいかなかったのだ。


これが私とハツミの初めてのケンカ。
彼女は圧倒的に強かった。


ウチの親が
「アノ子は生意気。大人を馬鹿にしてる目をしている」
と言っていたことがあったが、本当にそうなのかもしれなかった。





翌日から、私は2泊3日で家族旅行に行くことになっていた。



そして、夏休みは後半に差し掛かっていた…。
ハツミと聖司は、残り少ない休みの間、きっと二人で会っていたんだろう。


私は、諦める以外に、どうすることも出来なかった。






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【2007/08/01 01:04】 高校時代 | TRACKBACK(0) | COMMENT(0)
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初めてのナンパ2

私は、その一日を聖司を過ごすことにより、あっという間に聖司に惹かれ、好きになってしまっていた。本当にかっこいいと思っていたし、何より優しかった。
ハツミに気があるのは、なんとなく分かっていたけど、私にも話しかけてくれたし気を使ってくれた。
私は、ハツミに勝てる気はしなかった。ハツミはどうみても私より可愛い。
それに私より成績もいい。私は自分に自信がなかった。それは処女だったから、というのも大きかった気がする。




その日、聖司の家で夜通し騒いだ。
聖司の中学生の弟も参加して…。どうやら聖司は道を謝ったらしいが、弟は親に真面目に育てられていたようだ。兄と接触させることを極度に嫌がっていたように見えた。

そして分かったこと。
ケンは地元の学校に行っていたが、聖司は県外の全寮制の高校に行っていた。今は夏休みだから帰省しているのだという。
聖司が通う高校というのは、素行が悪くて有名な高校だった。
人里離れた山奥にあるその学校は 逃亡防止のシャッターがそこら中にあるという。地元の学校に入れない筋金入りの馬鹿者を収容してる高校 というイメージか。成績が悪い という意味ではなく、警察にお世話になるという意味での馬鹿者ということだ。

そんな話を聞いても、当時の私たちはなんとも思わなかった。
遊び相手として楽しければ不良でも馬鹿でも何でも良かったのだろうか…。

聖司と私は趣味がけっこう合っていた。
天然石のアクセサリーが好きなこと、読む漫画や映画が一緒なこと。
その話をしているときだけ、ハツミには勝ったと思った。

そして聖司は私に、綺麗な緑の石のネックレスをくれた。


私たちは明け方になると外に出て、盗んだ自転車で食事をとりに行った。
びっくりドンキーや吉野家、マック…。
遊ぶお金は全部聖司が出してくれた。
どうやら、かつあげや恐喝で稼いだお金らしい。
それを聞いても私はなんとも思わなかった。
「私がやってるわけじゃないし〜」
という気持ちで、自分は無関係だと思っていた。大馬鹿者だ。

しかもそんな馬鹿に惚れてしまった私の苦悩はこの先何年も続くのだ。
それは聖司という男の中途半端な女への優しさにある。
「スケコマシ」という言葉がこれほどピッタリな男もいない気がする。





結局、私とハツミは聖司の家に二泊した。
親は呆れているのか諦めているのか、息子の前にも私たちの前にも姿を見せなかった。一度も。


最後の日、出会ったゲーセンに行った。

聖司はUFOキャッチャーで、当時流行っていたREXのぬいぐるみをハツミにプレゼントしていた。
私もすごく欲しかった。羨ましかった。でも、聖司の目にはハツミしか映っていない…。


そんなとき
「ミクもとってやろうか?」
聖司が言った。
…すごく嬉しかった。

聖司は私にも同じヌイグルミをとってくれた。
私はヌイグルミの首に、貰ったネックレスを巻いた。
そのヌイグルミを眺めながら、これから苦しい日々が始まるなんて思っても見なかった。



とにかくこの日から、そのときから 聖司とハツミと私の、三角関係が始まったのだ。







「聖司のことどう思ってるの?」
怖くてハツミには聞けなかった。








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【2007/07/25 00:55】 高校時代 | TRACKBACK(0) | COMMENT(0)
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初めてのナンパ

私もハツミも彼氏と別れ、なんとなく一緒に遊ぶことが多くなった。

夏休みである。

お互いの家を泊まりっこしたりした。
その日は私がハツミの家に泊まる番。

私は隣町のハツミの家まで自転車で走る。
途中で待ち合わせして、繁華街をウィンドーショッピング。夕飯は外食して、ハツミの部屋で夜中まで話続けて、そして寝る。
いつもそんな感じ。

その日、私はハツミに「もう着ないから」と一着服を貰った。大人っぽいデザインのノースリーブの白いカットソー。
「なんで着ないの?」と言うと「腕が太いのが目立つから嫌」とのこと。
思えばハツミは神経質な程に腕や足の太さを気にする女の子だった。

翌日、ハツミの家の近くの駅から電車に乗ってゲーセンへ行くことにした。
どっちが言い出したのかは覚えていない。

店内でフラフラしていると、メダルゲームで遊んでいる若い男が二人、目についた。私は全く気がつかなかったが、ハツミは
「さっきから、アノ人たちが私らのほう、見てくるよ」
と言っていた。
「そう??」
私は全く気にせずにいたのだが…。。。ハツミは気になって仕方ないらしい。


と、少しすると、その若い男二人は、私たちの近くにやってきた。

「何してんのー?一緒に遊ばない?」
とか、多分そんな感じだったと思うけど、声をかけてきた。
私にとっては"生まれて初めて"のナンパであった。ビックリして返事なんて出来ない。オロオロする私の隣でハツミは余裕の笑顔で返事をしている。ナンパされることを予想していたのだろうか。

そんな感じで私たちはナンパされ、暇だったし、その男の子達と一緒に遊ぶことになった。
彼らは、私たちと同じで近所に住む高校1年生だった。
一人は「奥田聖司(セイジ)」といい、もう一人の長身の男は「矢藤ケンジ」と名乗った。二人とも、そんなに素行が悪い感じはしなかったように思う。
矢藤は「ケン」と呼ばれていて、私たちもすぐに「ケン」と呼ぶことに慣れた。


聖司とケンは、駐輪場にあった自転車を2台盗んできた。今思えば「何やってんの!!」と思うけれど、そのときは何にも思わなかった。バレなければそれくらいのこと問題ないと錯覚していた。

聖司とハツミ、ケンと私で自転車に二人乗りした。
私はふと、タケシともよく二人乗りしたことを思い出して悲しくなった。
でも、ケンがそんな私に気づいて面白おかしく話しかけて楽しませてくれた。
ケンは全然かっこよくなかったけれど、面白くて優しい子だった。なんとなくだけど…聖司との力関係は下に見えた。

私たちは夕方まで4人で遊んで、その日 聖司の家に泊まることになった。
私は自宅へ「ハツミの家にもう一泊する」と嘘をついた。少しの罪悪感が、逆に刺激になって余計にテンションが上がってくる。

そのときハツミが「着替えたいから一回家に帰る」と言い出した。
電車で一駅の距離だ。そんなに時間もかからないということで、私と聖司とケンは駅でハツミの帰りを待つことになった。
駅の地べたに座り込む。
すると、聖司の友達だという男の子がまた一人、また一人とやってきた。
怖そうな子もいるし、髪の茶色い子もいる。いわゆる「不良」みたいな風貌の少年達が5人くらい座り込んだ。
そこで、数時間の間 私たちは話をしながら過ごした。
楽しかった。
年上ではない、同世代の男の子たちが、私とちゃんと話してくれることが。
ちょっと不良っぽい男の子たちがかっこよく見える年頃だった。

隣にいた聖司が、ふと私に言った。


「ハツミって、可愛いな」


…。
なんとなく予想していたこと。
聖司はハツミを気に入っていた。

そして…私は聖司を…。
聖司はすごく私の好みの顔だった。
かっこよかったのだ。
でも私は、それを言えなかった。
ケンだけが、私の視線に気づいていた。




 
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


若者が吸殻を散らかしながら、地べたに座り込み…。
こういう光景を今でもコンビニ等で見ます。
今では眉をしかめて関わりたくない、と通り過ぎる大人側になってしまったけれど、当時の私は眉をしかめられる方だったのですね…
何も悪いことをやっていなくても、夜に集団でたむろしていたら補導されても文句は言えない。
もしくは複数の素行の悪そうな男たちと女が一人。乱暴されても文句は言えないような状況でした…。今思うとよくそんな怖い状況に一人でいられたと思うけど、当の私は全くビビってもおらず、楽しくて仕方なかったのでした。
別に、ちやほやされていたわけでもないが…。。。可愛くない容姿で助かったのかもしれないですね(笑)




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【2007/07/02 00:32】 高校時代 | TRACKBACK(0) | COMMENT(1)
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親友からの電話2

やっと合点がいった。

ハツミの後ろにはシンジがいる。
シンジの家から電話をかけてきているのだ。
だからすぐに会話を中断する。後ろのシンジと何か話しているに違いない。

私はとても腹が立った。
なんでそんなことをするのだろう。

保留音が切れ、ハツミが
「もしもし〜ごめんね〜〜」
と戻ってきた。
私は
「ねぇ、後ろに誰かいるんでしょ?」
と聞いた。

「えっ??な、なんで?」
ハツミは明らかに動揺していた。
私は続けざまに言った。
「シンジの家から電話してきてるんでしょ?」

「えっ…ち、違うよ〜〜なんでなんで〜??」
ハツミは必死で誤魔化していたが、バレバレであった。

「なんで、私に電話かけてきたの?」
「…」
ハツミは黙っていた。
「用事がないなら、切るよ。」

私は電話を切った。
ものすごく腹が立っていた。シンジにも、ハツミにも。


それから数時間後にまたハツミから電話があった。

「さっきはごめんね!」
ハツミは謝り、シンジから私に電話をかけろと言われてかけたんだと言った。
口調はいつもの彼女のものであったから、私は安心した。そしてハツミへの怒りは消えてしまった。
ハツミは
「なんでシンジの家からだって分かったの?」
と聞いていた。
「電話の保留音で分かった。だって、アノ人、私にしつこいくらい毎日電話してきたもん」
「そーなの?!」
なんとハツミはシンジが私のことを好きだったなんて全く知らされていなかった。私も夏休みに入っていたので、シンジのことをハツミに詳しく相談もしていなかったのだ。

「ねぇ…、なんでシンジなの??本当にシンジのこと好きなの?」
私はハツミに聞いてみた。
彼女の態度からすると、どうも本気で好きなようには見えなかったからだ。

「う〜〜ん??別に…おとつい遊んで、付き合ってって言われたからOKしただけだよ。好きじゃないけど、彼氏っていうものが欲しかったんだもん」


先生とは何度もSEXしているが、”彼氏”でもないし”恋”でもない。

「もう、やっちゃったよぉ
ハツミはそう言った。


気持ちは分からないでもない。
でも…好きじゃないなら、なおさら付き合わせたくない。

「シンジは、私にフラれた腹いせに電話させたんだね。お前の親友食ってやったって私に知らせたかったんだ。あのね、私…」

私はハツミに全部話した。
私が夜中に呼び出されて散々好き勝手に弄ばれたことも、フラれたとき逆ギレされたことも、それからまだ一週間経ってないことも全部。

ハツミは
「マジ…???」
と言って無言になってしまった。

「だから、あんな男、絶対にやめたほうがいいって!ハツミにはもっとイイ人がいるから!!」









そして翌日、ハツミはシンジをフッた。






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【2007/06/29 22:24】 高校時代 | TRACKBACK(0) | COMMENT(1)
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